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2020年4月25日 またひとつ時は過ぎ。 [カメラ]

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Nikon D850  AF-S60㎜

『月刊カメラマン』が休刊だそうである。

ーだそうである、と如何にも伝聞な表現は、所謂カメラ雑誌を購読しなくなって久しいからだ。と言うより、あれ程好きだった書店に出入りしなくなったことをついでに白状しておこう。

数年前に時折特集記事を寄稿していたムック本が休刊となった時も急な連絡だったが、月カメも次号予告を掲載した最新号が書店に並ぶ中、Webでの急な発表だったようだ。勿論、新型コロナウイルス感染症に関連するか否かは分からないとはいえ寂しいニュースばかりだ。

実は、若き日に月刊カメラマンの取材を受けたことがある。手元の掲載誌をみると1992年2月号だ。7ページも誌面を使っていただき恐縮しごくだ。次いでいうと、取材時にも動きが楽だからとテキトーに着ていた今や懐かしのベネトンのスエットに、取材当日も掲載後も仕事仲間のスタイリストやヘアメイク、親しいモデルたちから強烈なダメだしを食らった恥ずかしい思い出も蘇るのである。ちなみに、掲載した作品のうちフィルム撮影後『レスポンス』で合成したもののキャプションに、デジタル処理としたのが、おそらくこの雑誌唯一のデジタルという単語だったと思う。

だから、開くと表2見開きが当時のカメラ雑誌での定位置だった旭光学PENTAXのZ-1の広告、表4はコニカのフィルムIMPRESA50の1992年2月号には当然ながらデジタルカメラはまだ登場していない。巻末のほうの小さな業界ニュース一覧の中に、ニコンがスペースシャトル計画に採用され、2台のニコンF4のうち1台が100万画素モノクロCCDの電子静止画カメラに改造され、ディスカバリーで6日間飛行したとある程度だ。なにしろ第2特集はストロボVS超高感度フィルムの室内ポートレートなのだから。

2020年の今日、ニコンD850でそんな月刊カメラマン1992年2月号を複写した。ブラインド越しの曇天の明かりで、手ブレを避けるべく1/40秒が切れるように右手人差指でISOボタンを押しながら親指でダイヤルを回して感度を上げる、床に置いた雑誌にできるだけ正対するようにファインダー内の透明液晶に表示された格子線をガイドに構えて、手持ち撮影でお手軽に終了だ。ある目的達成が簡易になるのは進化のあかしである。進化は過去を駆逐しながら進む。スペースシャトルすら過去に置いた時の流れの中、紙媒体のカメラ雑誌が姿を消してしまうのも止む無い現実だ。


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2020年4月21日 伝家の宝刀。 [日常]

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Nikon D850 AF-S60mm



我が家にも『アベノマスク』が届いた。

ニュースでもそう呼称されているので、この透明なポリ袋に入ったものは恐らくそういう商品名なのだと勝手に理解しよう。だから図に乗って揶揄して留飲を下げているわけでは、決して無いのである。念のため。

まだ未開封だけど、透明な袋に入っているのは懐かしいガーゼのマスクだ。そうそうこういうマスクだった、と遠い目になってしまうのは立派なジジイだからだろう、恐らく。遠い昔、小学生だった頃、風邪をひかないよう冷たい空気から喉を守るため母親が用意してくれたマスクだ。

そして不幸にも風邪をひいてしまうと母親は摩り下ろしたリンゴをガーゼで濾してジュースを作ってくれた。要するに、そんな巨大な水の分子すらを透過するガーゼで出来たマスクにウイルスに抗うどころか、飛沫の拡散を抑える事を期待するのはお門違いだろう。つまり、アベノマスクに新型コロナウイルスに対抗しうる機能など無いことは素人目にも明らかだ。きっと駅馬車を襲う強盗団がするように首に巻いたバンダナを鼻の上まで摺り上げたほうが、むしろ顔を広く覆ってより効果的だろうなと思うのは、決して皮肉などでは無くて、あくまで西部劇ファンだからだ。念のため。

466億円というアベノマスクの価格に、外出を自粛中の、つまり無収入のフリーランスフォトグラファーとしては大きな溜息しか出ないが、ともかく普段使いは、推奨されないとされる、不織布のサージカルマスクを洗っての再利用を続けよう。背に腹は代えられぬだからね。そしてこの高価な国家頒布のマスクは、いよいよという時の伝家の宝刀として保管しよう。ただ製造元も記載されてないポリ袋に入っただけの出所不明のマスクをいきなり装着するのは憚られる。さすが伝家の宝刀は抜くまでには大分手が掛かるのである。

2020年4月8日 緊急事態 かっこタメ息。 [日常]

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Nikon D850 AF-S70-200㎜

緊急事態宣言である。
その宣言がやっとなのか、ついになのかは分からないが、些か呑気なニッポン人へのより高位な警告だ。

家に居ろ。人と接するな。その通りだ、行動を自粛すべきだ。感染も恐ろしい、あるいはウイルスの中間宿主となってしまうことも避けなければならない。

行動を自粛する。しかし困難だ。つまりそれはフリーランスフォトグラファーにとって仕事をしないことを意味するからだ。居酒屋が休業するのと同じだ。仕事をしなければ収入は無い。収入が減少するのではない、全く無くなるのである。奇妙に小さなマスクを着けた総理大臣が、躊躇なく、とか、かつて無い、とか威勢良い言い回しの演説で説明する難解な援助給付はそもそも我々のような業種への考慮は無いのであろう。

感染が不安だ、今予定されている仕事を終えたら家に居るべきだと正しい自分が考える。しかし、今後社会がより悪い状況に陥ってしまうことを思うと仕事があるうちは仕事を受けるべきと考えてしまう愚かな自分を律するのは、難しい。