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2012年3月1日 初物は東を向いて。 [カメラ]

nikonD4_test1.jpg
Nikon D4 PC85mm


ニコンの新型カメラのことである。
オリンピックイヤーに合わせたNikon D4とD700後継機ではないとするプロユース機でもあるNikon D800/Eをザックジャパンに喝!だった昨日、ある程度入念にチェックできる機会があった。

先日のキヤノンの1DXとC300のプレゼンでは残念がらテスト撮影することは叶わず、もっぱら機械的フィーリングの確認と疑問点の解消であったが、今回のニコンでは撮影可能という事前通達に期待し(東京では)大雪の中いそいそ出かけたのである。

日本広告写真家協会という組織内での一種クローズドな少人数の”お触り会”であるので、以前のD800の記者発表会後に行われたプロユーザー向け体験会より入念に、濃密に、ゆっくり、とチェック出来るのである。穿った見方をすれば、明日のキヤノンの5Dmk2後継機発表前に囲い込みを狙ったかともとれるが、プロサポート窓口であるNPS担当以外に所謂”中のヒト”が大挙して参加してくれていたお陰で細部までの確認もとれ実に有意義なのであった。公開不可な情報は口を噤むとして、軽く飲食をしながらの懇親会も付帯した点は特記事項である。

NPSではD4の予約が圧倒的だと言うことであるが、それはNPSの会員がスポーツ、報道系フォトグラファーが多勢を占めているからであり、広告写真家協会(APA)のこの場においてはD4はついでの存在で、D800が人気の中心である。因みにD800Eの予想外の受注量にD800との生産比率の見直しにも言及があった。

ローパスフィルターの効果をキャンセルするローパスフィルターを装備したD800Eのカラクリに質問が集中した、ニコンとしては36Mの画素数を生かして中判対抗の純粋なローパスフィルターレス機を目論んだものの、商品企画としてアマチュアユースも考慮したローパスフィルター装着機が先ず有りきであり、派生型としてローパスフィルターの効果を無くしたモデルをということである。光路長などの基本設計を変更しないためローパスフィルターを無効化するローパスフィルターを装備するという解りにくい構造なのである、つまり同種の光学部材を等しく透過する故にボカされる高周波成分以外においてはD800もD800Eも写りは全く一緒だ。以前も記したがデジタルカメラにおいてモアレ、特に修復困難なパターンモアレのリスクを減らせるローパスフィルターは諸刃の剣なのだ。

最終ファームでは無いことからD800系のデータの持ち帰りは制限されたが、予想以上に良好な写りだった。基本設定のままのJpegであっても飛ばず潰れずのなかなか広いダイナミックレンジが感じられた。人物写真に対して極端にトーンカーブを弄ってもバランスの狂いも少なく粘りのあるデータである。なにより高画素が生かされた柔らかな肌のトーンは好印象でなのだ、睫毛等の細部においてD800EよりD800のほうがより好ましく感じた。同時に廉価版であるF1.8の85mmの良さも確認できた。意外なほどにボディの質感が高いD800/Eのコンパクトなボディに合わせF1.8級のレンズが良好な性能を発揮してくれることは体力にも財力にも優しいのである。

この場では不人気のD4であるがカメラとしての高品質感は絶対である。差は確かに少ないとは言えD800/E以上である。Canon 1DXも恐らく同様であろうが、その高価格の意味を質問したところ高速連写に対応する強固な作りとそれを確証するコストであるという。よーするに壊れにくい長持ちするカメラなのである。よく入門機というジャンル分けを見かけるが実はフラッグシップモデルと呼ばれる機種こそ本当の入門機だと思う、頑丈で操作がシンプルでよく写るのだから。

D4での動画撮影時にAFが結構追従するのは驚いた。レンズによって差があったが、F1.4の85mm装着時にはパンするカメラの動きに合わせ滑らかにピントがついてきた。おそらく同じメカのD800/Eでも同様と思われるがデジタルカメラの進化は早い。

D4で撮影したRAWデータは日頃常用のAdobe系ソフトでは未だ現像は出来ない、カメラ付属のソフトでTIFFにしたそれは、当然美しい写真である。D800/Eからすれば、たった(D7000と同じ)16Mというだけの事である。印刷物の殆どの制作には十分なのだ。とは言え、中判デジタルが必要となる領域は存在し、そこに対しニコンがD800/Eをリーズナブルな価格とコンパクトなボディで用意してくれたことは快挙である。

残る問題はD800/Eで仕事中に、クライアントが趣味でD800/Eをぶら下げて現れてしまった時のバツの悪さであろう。36Mという記号と買える価格は、写真趣味のアマチュア層にも訴求力が大きそうだから。

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