2017年4月19日 大転倒。

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"大"転倒である。

つまり、その通り派手に転んだのである。些か赤面な記憶の記録だ。

 

往来の、横断歩道の、それこそど真ん中で、ただ歩いていて、突然、目的もない五体投地である。恐らく停車中のドライバーにしてみれば視界の中で唐突に人が倒れボンネットの陰に消えていったに違いない。きっと逆の立場であればスナイパーに狙撃されたのではと身構えたはずだ。

 

オトナが転んだのである。 いい歳をして、なのか、いい歳だからか、の判断は取り敢えず棚上げするとして、心のダメージ以外肉体的損傷を免れたのは幸いだった。次いで言えば駆け寄って安否を尋ねてくれたのが「オシャレ」な「若く」て「美しい」女性だったのも、ある意味幸いだったのは余談だ。

 

 仕事の帰路だ。まず、風邪で少し意識が朦朧としていた。ニコンのフルサイズと富士フィルムのAPS-Cなどが詰め込まれた大きなバッグを右肩に、マンフロットのやたら大きく重いムービー一脚などが入ったスタンドケースを左肩に、その少し前のスーパーマーケットでの買い物を両手に持っていた。そして成すすべくなく転んだ。

 

２日目だった現場入りは、その場所と曜日と時間から我がシトロエンC5トゥアラーの出動はあきらめざるを得なかった。転倒の伏線はすでにここに張られているのである。

 

建設中の某所である撮影現場は、ヘルメットと安全靴の着用が指定だ。クルマが使えない状況下手持ちの荷物を減らすため、そこへの往復はヘルメットはカラビナでカメラバッグに、そして安全靴は履いたままである。もうずいぶん昔、米軍サープラス品を着る大学生の息子に、それに合わせるのはこれだろと父がくれたのが、この編み上げの安全靴だ。

 

何十年の時を超えいまだ使えるメイドインジャパンの品質は兎も角、この日編み上げの上部までかけず途中で巻いて処理した靴紐が 転倒の直接要因となった。つまり、編み上げの上部のフックがもう一方の靴の巻かれた靴紐に引っかかってしまったのである。

 

機材に加え、風邪の体が欲するままにスーパーマーケットで購入した２Lのスポーツドリンクや１０本入りドリンク剤、喉を通りやすそうな豆腐や高カロリーな甘み等の重量物が、次の一歩を踏み出そうと前傾した体に先んじて

前方に移動したときそれを受け止めるはずの足が靴紐に固定されていたのである。ヒトは意図的なアンバランスで二足歩行を成しえた、次の一歩で転倒を回避しながら歩むのである。

 

次の一歩が不可能と察してから時間はひどくゆっくり流れた、斜めに傾いていく視界の中で足を戻すことも試みた、前方に移動した体重と荷物の重量を片足で引き戻す試みもしたつもりだったが、まるでYouTubeでみる三脚ごとたおれるビデオカメラの映像のように傾いた視界が路面に接地した。

 

転んだのである、手をつくこともなく、残された足を中心に弧を描いて倒れてしまったのである。駆け寄ってくれ声をかけ拾ってくれようとしてカメラバッグの重さにひるんでいた女性にこの場から感謝だ。あまりに大袈裟な転倒に驚かせてしまった周囲の人々にお詫びだ。そして辛うじてとった受け身で事なきを得た自分には戒めだ。

 

 

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