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2010年12月3日 Made in Japanという写真。 [カメラ]

Made-in-J.jpg
PENTAX 645D FA45-85mm

FIFAのブラッター会長がもったいをつけながら引き出した紙にQの文字が見えた。
日本のワールドカップの重要なポイントにいつもドーハが関係しているなと思いながら少しがっかりした。もう一度あの何とも言えない高揚感を東京で味わいたいと期待していたから。オリンピックに続きW杯も暫く日本に来ない事が決まってしまった。先日のAPECやCOP10なども取り敢えず日本開催だったのに妙に日本の印象が薄いものであった。日本(ニッポンと発音して欲しい)が弱くなっている事が実感されるのである。

と言う事で無理矢理話題を繋ぐのであるが、アタシも会員となっている日本広告写真家協会(APA)の『Made in Japan』という写真展が今日から富士フィルムフォトサロンで始まった。日本広告写真家協会創立50年記念事業と言う事でMade in Japanをテーマに会員以外からも公募し写真集と写真展を通し現代の日本を内外に発信するという企画である。一人一点という条件ながら相当数の応募が有ったらしいが、内226点が写真集に収録され写真展として展示されているのである。

写真展は”作家”としてはややがっかりな見せ方である。プリントも何とも濃度の浅い不本意なものであるところからも、個人的には写真展においで下さいとは言い難いのであるが、総論としては写真家達それぞれのテーマの解釈と表現は是非ご覧になる事をお勧めするのである。

上に掲げた写真がアタシの作品である。写真集の方では幸いにも1ページ大に掲載されている為まだましであるが展示の方は小さくプリントされた為か印象が異なってしまった。

Made in Japanというテーマに対しユージンスミスに憧れていた頃の様に町工場を訪ねた。ドキュメンタリーを広告写真風に撮ろうと考えたのである。道具のブツ撮りか顔アップのポートレイトかと思案しながら作業を見ていると、その作業そのものが何とも美しいカタチだった。しばしの休憩をお願いしライティングと若干の整理を現場に行った、そして撮影の為新品の軍手に取り替えようとする気遣いを押止めた。ありのままを撮りたかったから。

細部まで描写する為PENTAX 645Dを使った、レンズの良さと相まって驚くほどの細密感と質感を得る事が出来た。写真に立体感を求めるのであれば、このカメラの選択意義は大きい。粛々と淀み無く進む作業にむかいこちらも黙々とシャッターを切った。

人物を基準にセレクトしたカットは背景にもややピンが来ていた、そして研磨しているモノも目立たず当然ながら飛び散る火花も寂しかった。つまり現場で思い入れたっぷりに眺めた情景とは異なるのである、先入観や固定観念そして思い入れに装飾された印象は写真には写らないのである。ピンの外れた背景と形が見えるモノ、広がりの異なる火花をそれぞれ別カットから取り込んだ。報道写真を撮っているのではない、目で見て心に感じた情景を写真にしているのだ。勿論嘘は無い、一枚の写真に実は複数の時間が写っているだけの事である。デジタル化の進んだ環境は写真家の理想を具現化出来るのである。

ただ残念なのは、この作品制作環境で『Made in Japan』の表記の有ったものはレンズと露出計とコンピューターのディスプレイだけなのであった。

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