SSブログ

2010年11月13日 『裏窓』 [日常]

buckwindows.jpg
PENTAX 645D DFA645 55mm

ご存知、ヒッチコック監督の映画である。
足のけがでベッドから動けないフォトグラファーが、暇つぶしに中庭を挟んだ向かいのアパートを望遠レンズを装着したカメラで覗く中、殺人を目撃して云々という、ありがちな展開ながらも全編を通じて殆どワンシーンと言う撮影がサスペンスを盛り上げてくれる佳作である。エキザクタかな?に、かなり長いレンズを付け構える姿にややリアリティを欠くのと演じているジェームズスチュアートのせいか、「覗き」に悪を感じないのが可笑しい。

此の映画でもあるようにスチルカメラと望遠レンズの組み合わせは、秘密という事の対極に位置すると納得するのはスパイものマニアの性であろうか。数日前の読売新聞に極秘と書かれた印刷物を広げる手元アップの写真が掲載されていた。書かれた内容も読み取れる写真である、国会議事堂内のロケーションに全く不案内な身からすると、どのくらいの距離でどのくらいの明るさの中で撮られたのか不明ながら優れたテクニックと機材である事は判る。

危機管理、情報管理能力の甘さが指摘される中、報道下にあるつまり公な場とも言える予算委員会議場で極秘の印刷物を広げる浅薄な官房長官は、これをして望遠レンズで盗撮されたと発言し、あまつさえ取材規制に言及していると今日の新聞記事に有った。取材のガイドラインがカメラ機材の発達した今、時代遅れだという理由だそうである。

「盗撮」されたとする内容が極秘扱いするほどの物か、あるいはわざわざプリントする物かと疑問も有るがカメラ機材の性能向上は確かに目覚ましい。トーンカーブを寝かせて明部と暗部を押さえた645Dで撮った上に載せた写真には肉眼を遥かに超えた情報が写っている。遠くのビル内の人物をも認識出来る解像力は露出決定の安易さも有ってフィルムでは得られないものである。

『裏窓』の主人公ジェフは目撃した事実が刑事に信用されないのであるが、もし彼が手にしていたのが現代のデジタルカメラだったら高感度、手ブレ補正さらには動画、音声と完璧な証拠を撮影出来たに違いない。もっとも、そうなるとサスペンス映画にもならなかったかも知れないが。


nice!(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

Facebook コメント

トラックバック 0