2009年3月22日 黒部の太陽はまぶしかった。 [お気に入り]
PENTAX K20D DA*50-135mm
ドラマに心酔であった。
フジテレビ開局記念番組の『黒部の太陽』である。昨日今日とじっくり堪能したのであった。いや実に気合いの入ったテレビドラマといえよう。
「クロヨン」とか「ハサイタイ」という単語を覚えたのは、その昔読んだ(たしか)少年マガジン連載のマンガか石原裕次郎の映画『黒部の太陽』からだったと思う。アタシの子供の頃は高度成長期だったのだろう、何かモノを作るということに大きなエネルギーを感じていた。しかも『黒部の太陽は』破砕帯という困難に多大な犠牲を払いながらも成し遂げるストーリーであり、子供心にも一層の興奮を覚えたのであった。
少し前トミーリージョーンズの缶コーヒーのCMで『黒部の太陽』を思わせるものもあったが、フジテレビは石原裕次郎版をドラマとしてリメイクしたのである。番宣ポスターも往年の映画のポスターを思わせる作りで期待は盛り上がりである。昨日も今日も生活スケジュールは午後九時にTVの前に着席出来るように調整した。さすがに昔の映画の細かいディティールは覚えていない、ヘルメット(安全帽というべきか)が暗い中に幾つも並んでいるシーンが印象的だった。
香取慎吾は少々石原裕次郎を意識しすぎている様な印象を受けた。勿論映画の石原裕次郎の親方の記憶は乏しいから思い違いかもしれない、しかし香取慎吾の演じているのが倉松仁志では無く、倉松を演じる石原裕次郎を演じている様に感じてしまったのはアタシだけであろうか。ドラマの出来を損なう程では勿論無いのだが少し違和感を感じた。やはり主演は小林薫なのだと見終わった後思いを強くしてしまったのである。
出演者は見事だった。男たちのシーンは気迫の有る演技の連続で力が入るのだった。凄いキャスティングである。その時代のその場所にアタシはワープしていた、感情移入である。俳優という力量を感じさせてくれるドラマだった。前編後編と長い故か登場人物のキャラクターも丁寧に描かれていて充足感は高い。十分にお金もかけられている為か画面の隅々までキチンと作られていた、クルマに少々無理が見られたが時代考証もしっかりしており、トンネルのセットからさり気ない小道具まで実に良く出来ていた。日本映画は『三丁目の夕日』でタイムトリップを可能にしてみせた、その見事なテクニックは素晴らしい俳優たちの演技にさらにリアリティを増してくれた。
スケールが大きく力強かった昨日の前編に対し今日の前半の演出がやや冗長に感じてしまったのが残念であったが、久しぶりにズッシリとドラマを楽しめたのであった。大満足と言っても良い。
レギュラードラマがどれもイマイチだったこのクールの終わりにしてフジテレビお見事と言ってしまおう。流行のお笑い芸人をキャスティングしてしまう様な浅薄な演出が無かったことも幸いであった。NHKの『白州次郎』とこの『黒部の太陽』はDVDを買っても良いと思った。いやどちらもロケが美しいので是非BDで。
2009-03-22 23:56
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