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2021年3月11日 記憶。 [日常]

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ASAHI PENTAX SP SMC-T 55mm NEOPAN SSS


小学校1年生の頃の記憶だ。
ちなみにこの写真は、ほぼ関連は無いことを予めお詫びだ。

それこそ家の都合で彼方此方に住んだのであるが、小学校1年生の頃は海から数分のところに住んでいた。

正確に言うと港の岸壁から港町特有の路地を3分も歩けば十分といった位置関係だった。港町特有の路地と勝手に思っているが、例えば既に海からは離れてしまった東京の北品川あたりでも裏通りの古い家並みとその路地が港町だった頃を記憶していて、そこに懐かしさを感じたりするのである。

学校から帰ると、自然と遊び場はすぐ傍らのセリを終えた市場だったのであるが、古には賑わった港町だった名残もあって、我が家の隣は置屋さんだった。その二階の窓から高い塀越しに、学校から帰るのを見計らってお姐さんたちがちょっかいを出してくるのである。時にはプレゼントを放ってくる。なかでもライターの形をした香水のアトマイザーが、その香水の香りとともに妙に胸をドキドキさせられたのは懐かしい記憶だ。

ある夜地震があった。わが故郷はその後年比較的大きな被害のある地震に見舞われるのだけれど、その夜の地震は物が倒れたり落ちたりといったことも無い地震だった。ところが暫くすると表が騒がしくなった。岸壁に人が集まっているのである。聞くと津波が来るかもしれないから様子を見ているのだという、海面が急に下がったら津波が来るからとサンダル履きの寝間着姿で人が集まっているのだ。

この地が江戸時代に大津波によって壊滅状態になったという歴史を知ったのはずいぶん経ってからだった。その歴史の記憶が正しく伝えられていたら地震の後岸壁に人が集まってしまうようなことは無かったかもしれない。東日本大震災から10年経った。その記憶を忘れてはいけない、その記憶は次の時代に届けなくてはいけない。

2012年3月11日 過ぎていくことと残ることと。