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2016年4月27日 決定的瞬間。 [カメラ]

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Nikon D600 AF-S70-200mm


フレッシュマン走る、の図である。
4月だから、なのである。

4月だからという話題を今更書いている体たらくぶりに弁解の余地も無いことは自覚していると、予めお詫びだ。

ともあれ4月といえば、初々しく走るフレッシュマンのスナップショットであろうと、実に単純にステレオタイプに発想したのである。そしてフレッシュマン=新社会人ならば丸の内とこれも単純な三段論法で出掛けて撮った写真だ。

その昔まだPENTAX 6x7にRDPがメイン機材だった頃デパートのフレッシャーズスーツのロケを、やっぱり丸の内でしたことがある。勿論この時はモデルを使って演出しての撮影だ。人の少ない日曜日の早朝に地下鉄の出口の階段を駆け上がってくるシーンを撮影した。ちなみに狙いはヒトをブラして勢いや元気を写すこと、新人らしくね、なのだけどデジタルカメラの今と違ってフィルムを現像するまでブレ具合が解らないのである。つまりいくども何度も、リアリティも欲しいから、階段を全力で駆け上がることを高いところから涼しい顔でモデルに強いた”悪行”はあくまで有耶無耶な遠い記憶だ。

そんな「丸の内」で、今度は横断歩道を「新社会人」が「スーツ」で「勢い良く」「走る」という月並みな公式をアンリ・カルティエ=ブレッソンの「パリ・サンラザール駅裏」をはじめとする写真集「決定的瞬間」のようにスナップしようと、企んだのである。ブレッソンが「決定的瞬間」で見せたのは構図概念と瞬間の凍結という美意識だ、起こりうる日常の瞬間が美しい構図で表現されている。つまり信号が青に変わり「新社会人」が先頭切って「走って」くるだろう瞬間を横断歩道の白線を絡めて俯瞰からシンプルに撮ろうと狙った。

「新社会人」かどうかは兎も角「スーツ」のヒトが「走る」瞬間が撮れたのは1時間半後だった。想っているものが思ったようになかなか撮れないのが写真の面白さでもある。ブレッソンもサンラザール駅の工事中の水溜りを前日から下見をし早朝から粘ってあの写真を撮ったのだと聞く。何事も決定的瞬間は、つまり、そう都合よく不意におとずれたりしないのである。


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