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2016年3月18日 進み行く未来と守るべき遺物。 [カメラ]

ginza_walk.jpg
Nikon D800 AF-S50mm

写真展の話だ。
最近、対象的な2つの写真展を観た。

ひとつは、「ANNIE LIEBOVITZ」の『WOMEN:New Portraits』、そして『Phillippe Salaün Collection』である。

あの「アニー・リーボヴィッツ」の新作肖像写真世界巡回展と言うことでニッポンの会場のTOLOT/heuristic SHINONOMEに出掛けたのだった。だったと言うのは、つまり少し日を経た過去形で会期は既に終了している、念の為。
 
会場名からステレオタイプにイメージするこういう場所に居そうな”若い”女性が、実際その日の観客のほぼ全てだったと記憶している。工場跡をリノベーションしたのだろうがらんとした会場の中央に、積み重なった液晶ディスプレイの裏側と、その脇にこじんまりと写真が貼られた壁が入り口からの眺めだ。要するに写真展らしくない。8x10くらいとかA4くらいとかの大きさもフィニッシュもバラバラな、例えば"あの"オノ・ヨーコの写真なんかがテキトーにピンナップしてあり、その延長に今回の新作が、こちらはB4くらいで縦横4x8枚くらいに整列してやはりピンで貼られている。そして、並べられたパイプ椅子を囲んで40インチくらいのディスプレイを数台重ねた疑似大画面が3方向に、それとテーブルに置かれた写真集という展示だ。
 
壁にピンナップの展示演出は、しかし、保護に重ねられた透明なプラスチック板のつなぎ目が写真の真ん中だったり、写真の位置もバラバラな為、老眼のこんな場所に不似合いかもしれないオッサンには酷く見難い。加えて、驚くほど大量の写真を単純なスライドショーで映すディスプレイを重ねた疑似大画面の、個々の画面の枠による太い分割線や発色差が気に障るのは、件の彼女等には恐らく可能なこの場の世界観に浸れないオッサンの限界かもしれない。なにしろ”TOLOT/heuristic SHINONOME”が未だに飲み込めてないのだから。
 
そして、「フィッリプ・サルーン コレクション」。こちらはリコーイメージングスクエア銀座A.W.Pギャラリーでプリンターであるフィリップ・サルーンの美しいモノクロ銀塩プリントの展示だ。例えばロベール・ドアノーの、あの『パリ市庁舎前のキス』のネガからのノートリのプリントが見られるのである。こちらは会期中である。

昭和な純喫茶を思わせる内装のここは事実エスプレッソマシーンの珈琲を飲みながら写真が楽しめる異色なギャラリーだ。その壁に丁寧に紙焼きされてマット紙とともに額装された写真が並んでいるのである。因みに此処でも3人ほどいた他の観客は女性で、銀座で昭和で純喫茶のイメージ通りと思ったのはあくまで個人の感想だ。

写真は、アノ面倒くさい暗室作業から開放され、しかもネットワークで同時に共有できる進化を遂げた。インターネットの検索窓に打ち込みさえすれば遠い銀河の写真もニエプスの写真も居ながらにして見ることが出来る。それでも写真展に足を運ぶのは、銀塩プロセスでもデジタルであっても”写真”の質感を求めているからと頷きつつ途中階からの中国人団体に囲まれてエレベーターを降った。


A Photographer's Life: 1990-2005
Annie Leibovitz at Work
アメリカの神々―アニー・リーボビッツ写真集
限定マット額装品!/アニー・リーボヴィッツ/ケイトモス & ジョニー・デップ 1994年
ポスター アニー リーボヴィッツ The Blues Brothers 1979年 額装品 アルミ製ベーシックフレーム(ホワイト)
パリ・ドアノー―ロベール・ドアノー写真集
パリ―ロベール・ドアノー写真集
ロベール・ドアノー (アイコン・シリーズ)
Re´trospective









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