2014年11月25日 ニューフェイス。 [クルマ]
Panasonic LIMIX FX-500
新型Citroen C4 Picassoである。
やっと日本導入が始まった新世代シトロエンである。
日本で一番売れたシトロエンと言われる先代のC4ピカソ(とは言え遭遇率はC5以下だ)の新型がやっと日本にやって来た。133回めのパヴロ・ピカソの誕生日である先月の25日に発売開始だったはずなので、そろそろ日本の複雑な各種登録を済ませた”新車”が街中を走っている頃だが、当然未だ目にしたことはない。
開発中に116個もパテントを申請したという先進的プラットフォームの採用第一号なのだが、日本導入時期から、後発の、まあ結局”ただの”FF 2BOX ハッチバックである新型プジョー308とほぼ同時発売となってしまい、シトロエンに求めるアバギャルドっぽさが削がれたのは残念だ。
ともあれそのEMP2と呼ばれるプラットフォームの効果は、7シーターのグランド・ピカソであっても全長は例えばC5トゥアラーより約20cmも短いのに、長いホイールベースと低いフロアによる広々とした室内空間で実感できる。多彩なシートアレンジも活かせば乗車人員の低下を最小限に標準サイズのバックペーパーやポール、ハイスタンド等の長尺物の運搬といった”特殊用途”にも対応できそうである。フォトグラファー向けセールスも展開すべきであると、シトロエン・ジャポンにお伝えしたい。
グラスコックピットとも言えそうな大型の2つの液晶ディスプレイで構成される特徴的なインストルメントパネルは、DS5までの悲惨な日本仕様とは異なり、幸いなことにほぼオリジナル通りである。まともなトルコン式になった(戻った)6速ATのセレクターがかつてのDSのシフトレバー(兼スターター)を思わせるのを含め運転席周りはおよそ自動車らしくなくてシトロエンっぽいのが嬉しい。
エンジンは”また””あの”1.6Lターボである。自動車評論家の常套句のように必要十分で痛痒無く走る、ただそれだけで、深くアクセルペダルを踏んでもさっきより速くなるだけで何も高揚しない。スタートは自然なアイドリングストップ機能は、タッチの悪いブレーキに悩んでいるとせっかちに早めにエンジンをカットしてきて少し驚く。ただそのおかげで普段大排気量V6エンジンに慣れた生意気な感覚が気になる振動や音がしないのはエコ以上に効果的だ。普通のATになった(戻った?)おかげで走りは滑らかになった、あまりシフトダウンに積極的でないのが走りにくいがパドルシフトによるマニュアルシフトのレスポンスが良いのが救いだ。
シトロエンと言ってももはやコンベンショナルな金属バネのサスペンションが普通だ。それでもかつてのZXのように趣深いサスペンションはあったが、このC4ピカソはそこまでではない気がする、薄くて軽いという形容詞を思い浮かべてしまう感触だ。確かに柔らかいのにしっかり感もあって乗り心地も悪くなく、グランド・ピカソに7人乗って荷物満載したらどうなるかは判らないものの少なくとも普通に走る分には、流石フランス車と雑誌に書かれるかも知れないとは思う。
ただ、圧倒的な驚くほどの感触の違いだったのである。C4ピカソから自分の車に乗り換えて走りだした瞬間に感じたものがなんとも表現できないものの圧倒的な”何かの”感覚だった。ハイドラクティブサスペンションの感触であったり、ただの実用エンジンとは言え3.0L V6 DOHCエンジンの持つパワーであったり、クルマの造りであったりがからみ合った厚みと質量を全身に感じた。桁違いにC5トゥアラーは良いクルマだった。以前よく地方取材時などでレンタカーを使用後に帰着した羽田で自分の車に乗り換えて感じた惚れ直しより強烈な感覚だったのは、同じシトロエンというベクトル上での比較だったからかもしれない。
はっきり断言しよう、些か旧態化したCitroen C5 tourerは依然魅力的なハイドロシトロエンであると。そしてそれは決して新しいC4ピカソを買わない(買えない)言い訳の自己防衛的感覚ではない事も確かだ。
2014-11-25 19:00
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