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2012年5月9日 ヤオヨロズ、もとい八百。 [カメラ]

d800_stormysky.jpg
Nikon D800 AF-S70-200mm

だいぶ慣れてきた、ニコンD800である。
随分焦らされて入手できた新しいカメラである。当然、仕事道具とは言え”男の子”として嬉しいのは隠しようはない。仕事道具に成るべく癖や操作性への慣熟を言い訳に唱えながら頻繁に手にする自分が、可愛らしい。

36M画素という数字がNikon D800を語る主語であることは間違いない。それ故に導入したのは隠しようのない事実である。

とは言え高画素から期待する解像感は、100%で表示された画像はコンピュータディスプレイの限られた範囲で観る限りD7000のそれと変わらない。当然である、所謂画素ピッチが近似なのでニコンの言うところのDXサイズで比較すればむしろ若干D7000のほうが理論的には細かい描写なのだ。しかし、より新しいD800の画質がより良好であり、何より135フィルムサイズで36M画素である優位性は揺るがない。そして残念なモアレや不思議な処理によるDXでの画質低下を除けば動画の画質も随分良くなった。

ついで言うと、例えば露出補正時等のダイヤル回転方向が不思議なD7000に対し自然な操作性のD800は使いやすいボディサイズと相俟って好印象だ、ただカスタムで入れ替えても縦位置グリップを付けた指からでは無意味に遠いプレビューボタン等ニコン伝統の使いにくさは保たれている。因みにD7000発売時に中の人も正直驚いたと言う縦位置グリップの高価格も引き継がれ、殆ど機能が付帯しないのに無謀に高価なのに、装着時のガタツキは改善したようなものの電池のガタツキや蓋のガタが撮影中酷く気に障るのである。せっかくのコンパクトなボディにグリップを装着するのは縦位置のレリーズボタンが欲しいからである、願わくばレリーズボタンのみの剛性のある薄いアダプターの実現を期待しているのである。

さらに不満点を言うとマニュアル露出時にまるで用をなさないライブビューが筆頭だ。例えばスタジオでのブツ撮りとしよう、当然カブリを避けるため早めのシャッター速度でシンクロであり、被写界深度を稼ぐため小さめの絞り値である。結果モデリングランプの光量下ではLV画面は真っ暗で何も見えない、露出プレビューという付加機能は意味をなさず実用性がないのだ。LV中は絞りが動かないD7000ですら可能なことである、ソフト的に解決できそうな不具合なのだから一刻も早い改善は期待だ。

カメラの世代が改まるたびに展開される一部カメラライターの主張とそれに迎合するアマチュア諸氏の高画素諸悪キャンペーン(?)がD800の発売後急速に沈静化したことは興味深い。あるいは少し前に画素数競争から高画質に転換するなどと頓珍漢な発言をしていたメーカーはこの36M画素や噂されるキヤノンのより高画素機の登場をどう見ているのだろうかと余計なお世話を思ってしまうほどD800の画質は十分に良好である。

フィルムの時代、目的に応じて種類を選択するとともにモノクロなら力強さを出すために大きめの粒子と硬めの現像、柔らさには微粒子と軟調現像。リバーサルであっても露出と増減感現像で目的を達していたように、光のサンプリングなデジタルにおいても輝度情報を多く取り込める高画素は良好な画質の基本なのである。画素の数が画の大きさを規定するデジタルにおいて、出力サイズ以上の画素数は無用なのは理論である、しかし、より高画素な中判デジタルでの結果がより美しいのは現実だ。

Nikon D3sと同じレンズで比較すると、互いに拡大したり縮小したりを試しても同じ出力サイズである限り圧倒的にD800の画質のほうが優れている、それは解像感の同等なD7000との比較で有ってもD800の優勢は変わらない。つまりカメラとしてNikon D800は良くできているのである。

しかし、良好な広いダイナミックレンジとは裏腹なのか色の力強さが乏しい気がする、もう少し被写体のコクが欲しいのである。やや明るめに振れる露出計の設定も相俟ってか若干物足りないのは確かだ。それは同じ14bitの色深度での出力のPentax 645Dとの比較でも感ずるのである、被写体の存在感は645Dの方が明らかに強い、そして16bit出力の上位機種ではその差はおそらく顕著になるのである。とは言えそれはあくまでも用途によるものであり、コンパクトなボディと機動性に高画質を兼ね備えたD800の価値は高い。

恐らくレンズの解像力に迫ってきたであろうD800は確かにレンズの粗が目立つ、ニコンオススメの高級ズームもツボにはまった特の描写力より周辺画質の酷さが気になるのである。ある一部の突出した進化から始まるデジタル環境は足並みが揃うまでに少しタイミングがズレる、そして揃う頃にはまた何処かが突出するのである。新型高画素カメラに浮かれるアタシの元へ早くも新しいバージョンたるAdobe CS6が届いた、きっとこのソフトを存分に活用するためにはコンピュータの新調がやがて望まれるのだろう、そして、その頃には・・・

日本には八百万の神々がいるという、互いの矛盾や不足を補って神様の役職も増えたのだろうかと、デジタルな強迫観念から不遜にも思ったのであった。

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