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2012年1月21日 ローパスフィルターのムコウガワ。 [カメラ]

lopass_without0.jpg
without AAfilter 右のグレーのタイル貼りの壁面全体に見られる虹色のモアレ、茶色のビルの手すりの偽色
lopass_in0.jpg
with AAfilter 
lopasstest0.jpg
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唐突に比較写真である。
ローパスフィルター、あるいはアンチエイリアスフィルターの有無の効果を以前試してみた。同じカメラで単純にローパスフィルター有無のみの違いである、つまりIRフィルター等は当然双方ともに装着されている。同一の露出で撮影し同じパラメーターで現像。

今年もカメラショウの春がやってくる。天災に翻弄されたカメラ業界も、オリンピックイヤーでフォトキナイヤーでもある今年は新製品登場の話題に満ちている。中でもローパスフィルターと言うキーワードがweb上を飛び交っているのだ。

銀塩フィルムからイメージセンサーへの変化しようが画像は光の強弱を定着させて作ることに違いは無い。光の強さで黒化する銀粒子の代わりに電力の大きさで記録しているのである。ただ大きく違うのはその構造だ、一般的な1ショット単板式のイメージセンサーはカラーフィルターによって三原色分解されて色が作られているのである。ブライス・E・ベイヤーが考案したフィルター配列でセンサー上の素子を2X2単位でRGGBの色情報を得て隣同士の素子で色を推定補完しながら(デモザイク処理)画像を形成しているのである。

このデモザイク処理による高コントラスト部のハレーションはセンサー解像度を超えた部分でモアレや偽色となってしまう。また、規則正しく並ぶ画素が被写体の規則性と干渉してモアレを生じることも有る。そこで単純にして効果的な方法がローパスフィルターを光路上に装着する事であった。ローパスつまりハイカットフィルターによって空間周波数の高い成分を遮断するのである。ローパスであるから一定の周波数以下の成分は透過するので画像がボケるわけでは無い、本来高解像の部分が失われているのである。

モアレの発生と失われる解像度の功罪を秤にかけて、JPEGの無い後処理必須のプロユースのデジタルバックにはローパスフィルターの備えはない。かつてオプションで用意していたメーカーもあったがそもそもが高価な部材であるそれは20万円以上もした。一昨年難産の末登場したPENTAX645Dはその驚異的な価格の実現はローパスフィルターレスも貢献しているのである。
lopass_without1.jpg
without AAfilter
lopass_in1.jpg
with AAfilter
lopasstest1.jpg
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レンズを通った光は出来るだけピュアなままイメージセンサーに届いて欲しいと願うのは写真家の人情だ。ましてや高解像の部分で損しているなんて、ケチな性分としてはローパスフィルターに悩みは深い。ただ予期せず現れてしまったモアレの後処理の苦労は高解像の満足より大きい事は、間違いない。

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